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​STORY 2

浅山(あさやま)の砲弾倉庫跡(ほうだんそうこあと)では、ひとつのタマゴが孵化(ふか)の時期を待っていた。

そのタマゴは、産んだ妖精の負の感情と、置かれてた環境のせいで、真っ黒に染まっていた。

真っ黒な妖精のタマゴは、ヨウちゃんのお父さんに恨み(うらみ)を持っていて、その恨みをお父さんと似た顔のヨウちゃんに向けたんだ。

追いつめられるヨウちゃん。

なんにも気づかないで、クラスメイトの誠(まこと)と仲良くなっていく、あたし。

「……なぁ、和泉。オレにしない?」


「……え?」


「だってオレ、和泉といると楽しいもん。和泉だって、いつも怒ってばっかのヤツといるより、オレと笑ってたほうが、ゼッタイいいって」


「……それって、ラブ?」


 



「……うん」

「お荷物に決まってんだろ? 

 

アホっ子で、ひとりじゃなんも

できなくて。

いつもオレに尻ぬぐいばっかさせて。

 

そんなヤツを、どうしてオレが、

好きになるんだよ?」

 

​すれちがう、あたしとヨウちゃん。

 

 

あたしたちの恋のトライアングルは、

一体、どこに向かうんだろう……。

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