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こうやってやるんだよ【ナイショの妖精さん 3
「綾、ちょっとこっち来い」
「……ほぇ?」
なんか怖いから、あんまり近寄りたくないんだけど。
でも、ヨウちゃんだし、しょうがないかな?って、立ちあがったら。
「オレの右前に立て」
なんなのよ、もう。
「で、顔こっちで、横向く」
「……ね~。なにやらせんの~?」
内側に顔を向けたあたしの左わきの下に、ヨウちゃんの右腕がすっと入った。
――え?
背中を通って、右わきの下へ、右腕がまわってく。
両ひざの下に、ヨウちゃんの左腕が通った。
立ってる力が抜けたと思ったら、体が軽くなって、足が宙にうかんでる。
「う、うわぁっ!? 」
あたしの体、あおむけに丸くなって、ひざをまげてラッコみたい。しかも宙ぶらりん。
「わかるか、誠? こうやってやるんだよ」
ヨウちゃん、ニヤって笑った。
こ、こ、こ、これって、お姫さま抱っこっ!?
「ちょ、ちょっと! ヨウちゃんてば、なにすんのっ!? 」
足をバタバタしたら、ヨウちゃんの腕から落ちそうになった。
「わっ!? 」
「アホっ! 腕は、オレの首にまわしとけ」
言われるままに、両手をのばしてヨウちゃんの首後ろにつかまったら、胸と胸がくっついた。
ドク、ドク、ドクって、速く鳴りまくってるのって、ヨウちゃんの心臓?
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