top of page

あたしが好きなのはヨウちゃんだから【ナイショの妖精さん 2】


「ヨウちゃん。あたし……誠の告白ことわったよ」


「……えっ!? 」


 バッと、ヨウちゃんがふり向いた。


 ドキッとして、お尻をコンクリートのゆかに落としちゃう。


 だって……そこまで反応するっ!?


 反応した本人まで、自分の反応におどろいたみたい。まばたきして、琥珀色の目は、また、たき火のほうにもどってく。


「……どうして? せっかくの告白だろ? おまえらフィーリング合ってんのに。もったいねぇ」


「……だって。……あたしが好きなのは、ヨウちゃんだから……」

 

 

 あらためて言ったら、ほっぺたが熱くって。あたし、丸くなって、自分のひざで顔を隠した。

 ヨウちゃん、ただ、ゆらゆら燃える火を見つめてる。

 


 だよね。

 あたし……ひどいことしたもんね。


 一度なくした信頼は、そうかんたんには取りもどせない。

 すごくよくきく言葉が、こんなに心につきささるなんて思わなかった。


 ピーラーを左手に持ちかえて。あたしは、自分の右のポケットをさぐった。

 出てきたのはやっぱり、ちっさいぞうきんみたいな、ヘンな物体。


 う……あやしすぎ。ぜったい、呪いの袋って思われる……。


「ヨウちゃん、これ。あげる」


 なさけないから、目を見れなくて。顔、ひざにうずめたまんまで。

 あたし、右手をのばして、サシェをさしだした。


「ネトルとヤロウのサシェ。ヘタクソだけど、中身はちゃんと本物だから。持ってると、恐怖心がやわらぐんだって」


 どうせ受け取ってくれないに決まってるから、相手のひざの上に、強引に置いちゃう。


「勝手に書斎に入ってごめんなさい。それから、ヘアベルをつかったこともあやまります。あたし……人間として、ぜったいに、やっちゃいけないことをしました」




 

​シーンにもどる

bottom of page